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絶滅危惧種コアジサシの繁殖地保護活動について(2021年7月リポ-ト)

コアジサシは、日本では環境省が絶滅危惧2類、鹿児島県では絶滅危惧1類に指定しています。
絶滅危惧1類とは、絶滅の危機に瀕している種のことで、
絶滅危惧2類とは、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種のことです。
そんな状況の中、日本野鳥の会鹿児島県支部が、志布志湾の大崎町田原川河口で、コアジサシの繁殖と生育の保護活動を行っています。

【コアジサシの特徴】

■形態
体長は24 cm。ツグミやヒヨドリと同じくらいの大きさ。
翼を広げた長さは、約53 cm。
カモメの仲間。
■分布
日本では、本州以南に夏鳥として渡ってきて繁殖していますが、繁殖地場所の減少にともない数が減っています。
■生態
海岸や川などの水辺に生息して、巣は外敵の侵入に備えるために、川原・砂浜・埋立地などに集団繁殖地(コロニー)をつくります。そして、地面にくぼみを作って2~3個の卵を産み、育てていきます。
卵とヒナは、まだら模様で石ころと区別がつきにくくなっています。

コアジサシの生息地(竹筒の中に隠れて成長していく)

 

【日本野鳥の会 鹿児島県支部のコアジサシ保護活動】

志布志湾の大崎町田原川河口で、わずかながらコアジサシが繁殖と生育を行っていることを守ろうと、日本野鳥の会鹿児島県支部のメンバ-が保護活動を行っています。
今回は、その模様を取材しました。
2021年7月24日(日曜日) 早朝
この日は風が強く雨も心配されましたが、日本野鳥の会鹿児島県支部の主催で、志布志湾の大崎町田原川河口で、コアジサシの観察会が開かれました。
この日集まったのは、日本野鳥の会鹿児島県支部の副支部長前田さんを含めて9人でした。

この日集まった日本野鳥の会鹿児島県支部のメンバ-

【日本野鳥の会鹿児島県支部副支部長前田さんへインタビュ-】

(問)コアジサシについて教えてください
(答)コアジサシっていうのはどういう鳥かというと、カモメの仲間です。体長は24cm、 鳩ぐらいですね。翼を広げると、50cm を超えるぐらいになります。
飛んでる姿は、すごくシャープに見えると思います。
いわゆる夏鳥と言われていて、 春に南から渡ってきて、子育てをして秋に帰って行くと言うサイクルです。
コアジサシはここ数年 非常に数が減っていて、 環境省のレッドデータでは絶滅危惧種第2類に指定されています。
全世界でも、5,000~10,000羽ぐらいしかいないんじゃないかなって言われています。
鹿児島県では、絶滅種1類に指定されて絶滅の危機に瀕していて、営巣をやっている所はないと言われていますが、実際にはここでやっています。
オ-ストラリアから渡って来ますが、距離にして約5,000 km です。
日本にいる間は、 4~5月にカップリングをして 、卵を産んで子育てをしていきます。
8月の初めから終わりぐらいには、もう南へ飛んでいくという一連の流れになっています。
今、ちょうど卵を産んで、子育てをしている状況です。
今、成長して若鶏となって、親と一緒に飛んでいるのが三羽います。
ここで、これだけ大きな群れが子育てが出来るというのは、志布志湾の豊かな自然があって、そこで餌が取れるというところが一番でしょう。
環境としても、水辺の中に島がいくつかあったり、志布志湾への河口で浜辺が広いですから、そういったことでここに来てくれるんだと思います。
(問)今年のコアジサシの状況はどうですか
(答)いやーもう嬉しいですね 。
今までこれだけ多くのヒナが育って親と飛ぶようになったというのは初めてのことで、ここ数年来ですね。非常に嬉しいです。
(問)野鳥の会の皆さんが一生懸命対策としてきたのが実を結んだ形ですね。
(答)それもあるし、やっぱり地域の人たちと一緒にこの活動ができているというのが、一番いいんじゃないかなと思います。
志布志湾岸は宮崎も含んでいますので、一緒に守っていきたいです。コアジサシは、宮崎側とか鹿児島側とか関係なく来るので、 そこはお互いに情報交換しながら守っていきたいと思っています。
(問)野鳥とか見るのは好きですか
(答)自然の中での野鳥観察は、一番好きですね。コアジサシは綺麗ですしね。とっても可愛い鳥だなーって思います。
ヒナが、お母さんが餌を持ってくるのを羽をパタパタってしながら近づいて行くのを見ると、なんか頑張って成長してほしいなって思います。
(問)営巣地を守る活動について教えてください
(答)場所としては大崎町田原川河口で、5年ぐらい保護活動をしています。
具体的には、外敵(はやぶさ、いたち、カラス、猫、きつね)や直射日光から身を守るためのシェルタ-として、浜辺の害にならないように竹筒を置いていく作業をしています。
その竹筒の中で、卵やヒナが守られるんです。
後は、営巣地への車や人の侵入を防ぐために、看板設置と杭を打って、ロープを張ったりしています。

河口の島が主な生息地となっています

【観察されているメンバ-にコアジサシの魅力を聞きました】

・コアジサシが飛ぶ姿をみるとスカッとする。夏が来たっていう感じ
・コアジサシが飛ぶ姿はきれい
・雛がかわいい
・繁殖過程が身近に見られて、感動します
・青空を飛んでる時の姿は、白い羽が映えて、夏にはぴったりの鳥ですね

強風の中を力強く飛ぶコアジサシ

【あとがき】

日本野鳥の会鹿児島県支部のコアジサシの保護活動は、取材をするまで知りませんでした。
これからも、取材を続けてリポ-トしたいと思います。